パイプライン管理とは、商談を「どこまで進んだか」の段階に分け、各段階の件数と金額を見る やり方です。目的は売上を予測することよりも、商談が止まっている場所を見つけることにあります。 段階に分けると、案件が減る場所と滞留する場所が数で見えます。
以下では、段階の作り方、見るべき3つの数字、運用で崩れる4か所とその直し方、 Excelで足りる条件を順に扱います。当社が Pipedrive 上で複数のパイプラインを運用して 手を入れた場所を中心に書いています。
パイプライン管理とは
商談の進み方を段階(ステージ)に分けて並べ、それぞれに何件・いくらあるかを見ます。 たとえば「初回接触 → ヒアリング → 提案 → 見積 → 受注」のように置き、案件を左から右へ動かします。
案件を一覧で持つだけでは、どこで問題が起きているかが言えません。段階を持たせて初めて、 「提案までは進むのに見積で止まる」という形で位置を特定できます。
パイプラインとファネルの違い
同じものを別の側から見た言葉です。ファネルは母数がどう絞られるかを表し、 パイプラインはいま抱えている案件がどこにあるかを表します。ファネルは期間で区切った通過率の話、 パイプラインは現在の在庫の話だと考えると混ざりません。
段階の作り方
段階は相手の行動で切ります。自社の作業で切ると、動かす基準が人によって変わります。
良い切り方: 「先方が課題を言語化した」「決裁者が同席した」「見積を受け取った」
崩れる切り方: 「提案書を作成した」「メールを送った」
自社が何をしたかは、相手が動いていなくても達成できてしまいます。段階が進んでいるのに 受注が増えない状態は、ここから生まれます。
数は5前後から始めます。多いほど正確になるわけではなく、更新されない段階が増えるだけです。
商流による例
新規開拓が中心の場合は接触の質で切ります。
リード獲得 → 接触(相手が返信した)→ 課題の合意 → 提案 → 見積・稟議 → 受注
問い合わせ(反響)が中心の場合は、最初から課題が出ているので前半を短くします。
問い合わせ → 要件確認 → 提案 → 見積・稟議 → 受注
どちらも受注後の対応は同じ列に置きません。理由は後述します。
見るべき3つの数字
1. 各段階の件数と金額
いまどこに何が溜まっているかを見ます。特定の段階に集中している場合、 その段階の次へ進む条件が曖昧か、進めるための材料が足りていません。
2. 通過率
ある段階から次へ進んだ割合です。段階ごとに出すと、落ちている場所が1つに絞れます。
全体の受注率だけを見ていると、原因の位置が分かりません。
通過率が分かると、予測が計算になります。各段階の件数に、その段階から受注までの通過率を掛け、 平均単価を掛けて足すだけです。人の主観を入れずに数字が出るので、 月末に「たぶん行けます」という会話が要らなくなります。
3. 滞留日数
同じ段階に何日いるかです。平均より、閾値を超えた件数を見ます。 「提案で30日以上動いていない案件が5件ある」という形にすると、次の行動が決まります。
運用で崩れる4か所
段階を作るだけなら1日で終わります。崩れるのはその後です。当社は Pipedrive 上で インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、契約と請求のパイプラインを 分けて運用しており、実際に手を入れた場所が次の4つです。
1. ステージの意味が人によって違う
同じ「商談中」が、ある人には初回訪問済み、別の人には見積提出済みを指します。
定義を文にして残すまで揃いません。
直し方は、各段階に「ここに入る条件」を1行で書くことです。
提案 = 先方の課題に対する解決策を提示し、相手が内容を持ち帰った状態
主語を相手にすると、判断が揺れません。第三者のレビューでも、 運用ルールを決めずに使い始めると入力が散らかるという指摘が繰り返し挙がっています。 段階の定義は、その最初の1つです。
2. 失注のときにステージが手前で止まる
進めないまま放置された案件が、前の段階の滞留として見えてしまいます。 滞留の数字を見て「提案が弱い」と判断したのに、実際には終わっている案件を数えていた、 という読み違いが起きます。
直し方は2つです。失注を理由とセットで記録すること。そして失注理由を選択肢にすることです。 自由記述にすると集計できず、「価格」「時期」「競合」「要件不一致」のような 5〜7個の選択肢にしておくと、次の打ち手に使えます。
3. 確度(%)を人の主観で入れる
同じ状況でも人によって30%と70%に分かれます。合計した予測は、 担当者の性格の平均になります。
直し方は、確度をステージに紐づけて機械的に置くことです。
課題の合意 20% / 提案 40% / 見積・稟議 70% / 受注 100%
数字そのものは自社の実績から後で調整します。大事なのは、 同じ段階なら誰が担当でも同じ数字になることです。
4. パイプラインを1本にするか分けるか
部門で分けるのではなく、更新する人が変わる場所で分けます。商談と受注後の対応を 同じ列に並べると、どちらの滞留を見ているのか分からなくなります。
当社は受注前と受注後を別のパイプラインにしています。判断の考え方は kintoneとPipedriveの連携ガイドでも 同じ軸で書いています。
週次で見るときの3点
毎日見る必要はありません。週に1回、次の3つだけを見ます。
閾値を超えて滞留している案件 — 段階ごとに日数の閾値を決めておく
次のアクションが入っていない案件 — 予定が無い案件は止まります
今週入った案件と落ちた案件の数 — 母数が減っていれば、商談の進め方ではなく入口の問題
3つに絞る理由は、会議で全案件を読み上げる時間が無いからです。 公開レビューでも、鮮度の管理とタスクの見落としが運用の悩みとして挙がっています。 見る対象を絞ることが、そのまま対策になります。
Excelで足りる条件
最初はExcelで足ります。段階を列にして案件を行にすれば、件数と金額は出ます。
合わなくなるのは2つの条件が重なったときです。案件が数十件を超え、更新する人が2人以上になると、 同時編集と履歴の管理が追いつきません。誰がいつ動かしたかが残らないため、 滞留日数が計算できなくなります。
移行を判断する材料は3つです。
見るもの | Excelで足りる | 移行を考える |
|---|---|---|
案件数 | 数十件まで | 100件を超える |
更新する人 | 1人 | 2人以上が同時に触る |
履歴 | 要らない | 滞留日数と変更履歴を見たい |
詳しくは顧客管理をExcelでやる方法に整理しています。 CRMとSFAの違いはCRMとSFAの違いを参照してください。
よくある質問
ステージはいくつ作るべきですか。
5前後から始めます。多いほど正確になるわけではなく、更新されない段階が増えるだけです。 実際に人の行動が変わる区切りだけを段階にします。
パイプライン管理とパイプラインマネジメントは違いますか。
同じ意味で使われます。呼び方の違いです。
確度は何%に設定すればよいですか。
最初は段階ごとに固定値を置き、自社の実績が溜まってから調整します。 担当者が案件ごとに入れる形にすると、合計した予測が主観の平均になります。
パイプライン管理が定着しないのはなぜですか。
入力が増えるのに、入力した人に返るものが無いためです。滞留の一覧や次のアクションが 画面で見える状態にすると、入力が自分のためになります。定義を決めずに始めた場合も、 「どこに入れるか分からない」で止まります。
受注後の対応も同じパイプラインで管理できますか。
できますが、勧めません。更新する人が変わると、滞留の意味が混ざります。 別のパイプラインにして、受注をきっかけに引き継ぐ形にします。
ツールは何を使えばよいですか。
案件が数十件までで更新者が1人ならExcelで足ります。それを超えるならCRMやSFAを使います。 Pipedriveは段階を画面上で動かす形で作られており、機能の一覧で確認できます。
まとめ
パイプライン管理とは、商談を段階に分けて件数・金額・通過率・滞留を見るやり方
目的は予測より先に、止まっている場所を見つけること。通過率が分かれば予測は計算になる
段階は相手の行動で切る。自社の作業で切ると、進んでいるのに受注が増えない状態になる
崩れるのは運用側。ステージの定義/失注の記録/確度の置き方/分ける基準の4つを先に決める
週次で見るのは滞留・次アクション未設定・入った数と落ちた数の3点だけ
Excelは案件数十件・更新者1人までが目安
段階を画面で動かす形を試すなら、Pipedriveは2週間の無料トライアルで全機能を使えます。
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