これまで、担当者が作った自動化を直すには、先にオーナーを移す必要がありました。異動や退職でアカウントを止めると、その人の自動化が止まっても気づきにくい状態でした。
Webフォームでは、既存の連絡先やリードが再送信するたびに、レコードの担当者がフォームの既定の担当者に置き換わっていました。今回の更新は、こうした自動化とレコードの「持ち主」にまつわる手間を減らすものです。
Pipedriveの2026年9月の更新は、Nova、自動化、MCP、メール、インサイト、連絡先、プロジェクト、Webフォーム、設定の9領域にわたります。
Nova:商談の準備と記録をPipedriveの中で
商談の会話を扱うAI機能、Pipedrive Novaが追加されました。商談前のブリーフィングの作成、商談の録音と文字起こし、取引・人物・組織に反映するCRM更新の下書きを、Pipedriveの中で行います。詳しくは、Pipedrive Nova の一般提供開始をお知らせした記事で解説しています。
自動化:管理者による編集とユーザーへの一括有効化
グローバル管理者は、オーナーを移さずにアカウント内のどの自動化でも編集できるようになりました。要望の多かった機能です。編集してもオーナーは変わらず、自動化の実行と権限もそのオーナーのもとで扱われます。編集があると、オーナーに通知が届きます。
自動化のオーナーとグローバル管理者は、対象に選んだユーザー全員について、自動化をまとめて有効にできます。有効にされたユーザーは、必要なら自分についてだけ、その自動化を無効にできます。
オーナーを移すと、新しいオーナーには、その自動化を確認して有効にするよう促す通知が届きます。自動化の対象に選んだユーザーの一覧はそのまま残り、新しいオーナーも閲覧・編集できます。
ユーザーを無効化するときは、そのユーザーが持つ有効な自動化の数が表示され、先に引き継ぎ先へ移せます。無効化済みユーザーが持つ自動化は、自動化の一覧、概要ダッシュボード、データ整理画面(Data cleanup)にも表示されます。

MCP:AIアシスタントから製品とリードを扱う
MCP(Model Context Protocol)で接続した外部のAIアシスタントのチャット画面から、見積の作成、価格の更新、製品カタログの管理を行えるようになりました。製品のファイルや画像、その製品の購入履歴も取り出せるので、契約更新やアップセルの準備に使えます。
リードも、AIアシスタントへの依頼で作成・検索・一覧表示・更新できます。リードの詳細を確認し、見込みのあるリードを取引に変換することもできます。
管理者は、会社設定でMCPのアクセスを管理できます。オフにした時点で、新しい接続は遮断され、既存の接続も削除されます。Marketplaceのアプリや APIトークンには影響しません。
MCP対応そのものについては、ネイティブMCP対応をお知らせした記事で解説しています。
メール:Gmailのエイリアスと送信失敗の理由
メール作成時に、認証済みのGmailエイリアスを差出人に選べるようになりました。チーム共有の受信箱や別名義のアドレスから、Pipedriveの画面で送信できます。エイリアスごとのオン・オフはメール設定で切り替えられ、個人用・チーム用どちらのGmail接続でも使えます。
送信に失敗したメールは、送信トレイのスレッドと詳細画面に、メールボックスの容量超過、認証の失敗、送信数の制限といったプロバイダー側の理由が表示されます。よくある原因はその場で対処でき、サポートを待たずに再送できます。
Gmailとの双方向アーカイブにも対応しました。GmailとPipedriveのどちらでスレッドをアーカイブしても、もう一方の状態も更新されます。

インサイトと連絡先:集計条件と重複の判定
インサイトのレポートとグラフで、数値型と金額型のカスタム項目の平均値を表示できるようになりました。同じ項目に複数のフィルター条件をかけることもできます。
あわせて、営業担当者向けとマネージャー向けのダッシュボードテンプレートが追加されました。テンプレートを選ぶと、パイプラインの状態、受注率と失注率、期限切れのアクティビティ、未完了の取引を数クリックで並べられます。
連絡先では、管理者が重複の判定条件を設定できるようになりました。人物と組織について、どの項目とどの基準で重複とみなすかを自社で決められます。これも要望の多かった機能です。
プロジェクト・Webフォーム・設定
プロジェクトでは、Import2との連携を使い、Asana、Monday、Basecampなどからプロジェクトのデータを取り込めます。プロジェクト画面から直接実行でき、手作業で入力し直す必要がありません。
Webフォームでは、既存の連絡先やリードがフォームを再送信しても、担当者が変わらなくなりました。この動作が新しい標準です。フォームに設定した既定の担当者は、担当者が未設定のレコードにだけ割り当てられます。再送信のたびに既定の担当者を割り当てる以前の動きを続けたい場合は、管理者が設定で有効にできます。
設定では、プロフィールの電話番号を自分で確認・変更できるようになりました。サポートへの依頼は要りません。
日本のユーザー向けに見ると
今回いちばん効くのは、自動化の引き継ぎです。異動や退職のたびに、担当者が作った自動化の持ち主を確認し直している組織があります。無効化の前に有効な自動化の数が表示され、無効化済みユーザーの自動化が一覧に残るため、止まりそうな自動化を引き継ぎの段階で見つけやすくなります。
Webフォームの再送信で担当者が置き換わらなくなる変更も、既存顧客からの問い合わせで担当者が書き換わる問題を減らします。この変更は既定で適用されるため、再送信時に既定の担当者を割り当てる運用をしている場合は、設定を有効にするかどうかを決めておきます。
MCPのアクセスを会社設定で止められるようになったことで、AIアシスタントの利用を社内で認めるまでは接続させない、という運用を管理者が取れます。オフにすると既存の接続も削除されるため、切り替える前に利用中の接続を確認しておきます。
Pipedriveの2026年9月の更新の中心は、担当者の異動やレコードの担当の置き換わりで崩れやすかった運用を、管理者の側で整えられるようにすることです。
担当者が持っている自動化を、異動の前に確認する。
ユーザーを無効化する前に、その人が持つ有効な自動化の数が表示され、引き継ぎ先へ移せます。いまの持ち主を確認するところから始められます。


