CRM / SFA GUIDE

Notionで顧客管理|どこまで足りて、どこから別の設計が要るか

Notionでの顧客管理がどこまで足り、どこから別の設計が要るかを整理します。限界が出る4つの場所(重複の検出、権限の粒度と監査ログ、商談単位の履歴、複数軸の集計)を公式の料金プランと機能で裏づけ、移行の判断基準、移行時に壊れるリレーション構造の扱いまで扱います。

株式会社Mer

Pipedrive運営チーム(株式会社Mer)

Notionで顧客管理はできます。データベース機能で企業と担当者を持ち、商談ごとにページを作って議事録まで同じ場所に残せます。公式にも顧客管理向けのテンプレートが用意されています。

問題は、いつまでできるかです。Notionで顧客管理を始めた組織は、たいてい件数ではなく別の理由で限界に当たります。

この記事は作り方を扱いません。作り方は公式テンプレートと解説記事が揃っています。ここでは、続けたときにどこで詰まるかと、その判断基準を書きます。数値は2026年8月13日に各社の公式ページから取得したものです。

出典: https://www.notion.com/ja/pricinghttps://www.pipedrive.merinc.co.jp/plans

Notionで顧客管理はできますか?

できます。企業・担当者・商談をデータベースで持ち、リレーションでつなぎ、カンバンやカレンダーで見る形まで標準機能で組めます。

Notionが顧客管理に向くのは、1件の顧客に対して情報の形が決まっていないときです。商談メモ、提案書のドラフト、社内の検討経緯、参考リンク。これらを1つのページにそのまま積める設計は、専用のCRMにはない強みです。

もうひとつは、作り始めるまでの速さです。フリープランにサブタスクや依存関係、カスタムプロパティを含むデータベースが入っているため、費用をかけずに試せます。

実際にうまく回っているのは、顧客ごとの文脈が濃く、件数が少ない業態です。受託開発、コンサルティング、採用支援のように、1社との関係が長く続き、途中の経緯そのものが次の提案の材料になる仕事です。この形では、項目に落とし込めない情報を同じ場所に置けることが効きます。

逆に、同じ形の情報を大量に処理する業態では早い段階で詰まります。扱う情報が「1件ごとに違う」のか「1件ごとに同じ」のかが、最初の分かれ目です。

向いている状態

次の3つが揃っているうちは、Notionのままで問題ありません。

  • 入力する人が数人で、全員が同じ運用ルールを把握している

  • 顧客の件数が、目視で通しで見られる規模にとどまっている

  • 顧客情報を使うのが主に「見る」用途で、集計や予測が要らない

逆に言えば、この3つのどれかが崩れたときが分かれ目です。 崩れる順番は組織によって違いますが、崩れ方は共通しています。

限界が出る4つの場所

Notionをやめた組織の理由は、機能の不足として語られがちですが、実際には設計の前提が違うところにあります。Notionはドキュメントのためのデータベースで、顧客台帳のためのデータベースではありません。

1. 同じ会社が別ページで増えていく

顧客管理で最初に壊れるのはここです。「株式会社ABC」「ABC株式会社」「ABC(株)」が別のページとして並び、それぞれに別の商談がぶら下がります。

Notionのデータベースには、重複を検出する仕組みも、表記ゆれを名寄せする仕組みもありません。誰かが新規ページを作った瞬間に、それは新しい会社として登録されます。入力者が増えるほど、この増え方は加速します。

気づくのは、たいてい件数を数えたときです。 「取引社数」を出そうとして、実数と合わないことで初めて分かります。そこから手作業で統合すると、リレーションでつながっていた商談ページの付け替えが発生します。

Notionのまま抑えるなら、新規登録の入口を絞るのが唯一効く手当てです。企業データベースへの直接追加をやめ、フォームから申請して1人が登録する形にします。速さは落ちますが、増え方は止まります。人数が増えてから戻すのは、増えた分を統合してからになるため高くつきます。

2. 権限を細かく分けると、費用の前提が変わる

「Notion 顧客管理 セキュリティ」で調べる人が多いのは、この問題に当たるからです。

Notionの権限はページ単位が基本です。行単位・項目単位で「この担当者には自分の案件だけ見せる」という制御は、標準の共有設定では組めません。データベース権限の詳細設定が使えるのはビジネスプラン(メンバーあたり月¥3,150)からです。

さらに、誰がいつ何を見たか・変えたかを追う監査ログはエンタープライズプラン(カスタム料金)に入っています。

プラン

月額(メンバーあたり)

顧客管理で効く機能

フリー

¥0

データベース、カレンダー、ベーシックなフォーム

プラス

¥1,650

無制限のファイルアップロード、カスタムフォーム

ビジネス

¥3,150

データベース権限の詳細設定、SAML SSO、プライベートチームスペース

エンタープライズ

カスタム料金

監査ログ、SCIM、高度なセキュリティ設定、DLP・SIEMコネクト

年間プランにすると最大20%安くなります。

ここが判断のしどころです。「Notionは安い」という前提は、権限と監査を顧客管理に必要な水準まで上げた時点で成立しなくなります。 比べるべきなのは、フリープランのNotionと専用CRMではなく、ビジネスプラン以上のNotionと専用CRMです。

プランを上げない場合の手当ては、データベースを分けることです。全員が見てよい情報と、限られた人だけが見る情報を別のページ配下に置き、ページ単位の共有で切ります。ただしこの方法では、同じ顧客の情報が2か所に分かれます。どちらを正とするかを決めないまま分けると、更新されない側が残ります。

なお、業務委託や副業のメンバーが入る組織では、この論点が先に来ます。人数が少なくても、見せてよい範囲が人によって違うからです。権限は組織の規模ではなく、関わる人の種類で必要になります。

3. 「誰がいつ何を変えたか」が商談の単位で残らない

Notionにはページの編集履歴があります。ただしそれはページの履歴であって、商談の履歴ではありません。

顧客管理で振り返りたいのは「この案件はいつ提案フェーズに入り、いつ止まり、誰が何をした結果どうなったか」です。ステータスをプロパティで持っている場合、値を書き換えた瞬間に前の値は表に残りません。いつ変わったかを見るには、ページ履歴を1件ずつ開くことになります。

失注の原因を後から分析できないのは、この構造が理由です。 記録が無いのではなく、記録が横断して読める形になっていません。

手当てとしては、フェーズが変わったときに日付を別プロパティへ書き込む運用があります。「提案日」「決裁待ち入り日」といった列を先に用意しておく形です。ただしこれは人が忘れると欠けます。後から埋められない種類のデータなので、抜けた月の分析はできません。

4. 集計と予測が手作業になる

Notionのデータベースにも集計機能はあり、ビューごとに件数や合計を出せます。使えなくなるのは、複数の軸を掛けたときです。

「今月の受注見込みを、担当者別・フェーズ別・確度別に出す」といった集計は、ビューを都度作り直すか、外部に書き出して計算することになります。毎週同じ数字を出す業務になった時点で、これは手作業の再生産です。

さらに面倒なのが、過去との比較です。先月末時点の見込みがいくらだったかは、いまのデータベースを見ても分かりません。月末にスナップショットを別ページへ書き出す運用を足せば残せますが、書き出しを止めた月は永久に空きます。

手当てとしては、月次で使う数字を3つに絞り、それだけをビューで固定するのが現実的です。数字を増やすほど、作り直す手間が毎週かかります。

移行を判断する基準

件数で決めないでください。300件でも回っている組織があり、80件で破綻している組織があります。判断は、上の4つのうちどれが起きているかで行います。

起きていること

判断

同じ会社の重複が出て、統合に手作業が必要になった

移行を検討する

「この人にはこの顧客だけ見せたい」が発生した

移行かビジネスプラン以上への変更が必要

商談の経緯を後から追う必要が出た

移行を検討する

同じ集計を毎週手で作っている

移行を検討する

どれも起きていない

Notionのままでよい

2つ以上に当てはまるなら、運用の工夫ではなく設計の変更が要ります。 1つだけなら、その1つに対処する方が安く済みます。

Notionのまま続けるなら決めておくこと

移行しない判断も十分にあり得ます。その場合に決めておくと、限界に当たる時期を後ろへずらせます。

  1. 企業データベースへの登録を1人に集約する — 重複は入口でしか止まらない

  2. プロパティを増やす前に、誰がその値を使うかを決める — 使われない列は入力されず、入力されない列は集計を壊す

  3. フェーズの変更日を別の列で持つ — 後から埋められないデータを先に確保する

  4. 「見せたくない情報」をこの台帳に入れない — 権限で分けられない前提で運用する

4つ目が実務では一番効きます。金額や与信の情報を同じデータベースに持たせた瞬間、ページ単位の共有では守りきれなくなります。入れないことが、最も安い権限設計です。

表計算ソフトから来た場合との違い

ExcelやGoogleスプレッドシートで管理していた組織がNotionに移ると、ページと構造が手に入るぶん最初の満足度は高くなります。ただし、重複の検出と権限の粒度については、表計算ソフトと同じ課題が残ります。

表計算ソフト側の論点は別に整理しています。顧客管理をExcelでやる方法Googleスプレッドシートで顧客管理を参照してください。

移行するときに壊れるもの

Notionから移すときに一番手間がかかるのは、データの移し替えではありません。リレーションで作った構造の作り直しです。

Notionでは、企業データベースと商談データベースをリレーションでつなぎ、さらにページ本文に議事録を書き、その中で他のページをメンションで参照している、という状態がよくあります。書き出せるのはプロパティの値までで、ページ本文とメンションの関係はCSVに乗りません。

移行の前に決めておくのは3つです。

  1. どの情報を構造化された項目として持ち直すか — フェーズ、金額、確度、次のアクション

  2. どの情報をメモとして残すか — 議事録、検討経緯

  3. 移さないものは何か — 使っていないプロパティ、テンプレート置き場

順番としては、企業と担当者を先に移し、重複を整理してから商談を紐づけます。逆順にすると、重複したままの企業に商談がぶら下がって、統合がさらに難しくなります。

重複の整理は移行のタイミングでしかまとめてやれません。運用中は「いま統合すると誰かの作業が止まる」ため、後回しになり続けます。移す前の書き出したCSVの上で、社名を正規化してから取り込むのが最も安く済みます。

移行の期間は、Notionを止める日を先に決めてから逆算します。両方に書く期間を作らないでください。 二重入力の期間が2週間を超えると、どちらかが更新されなくなり、結局どちらも信用できない状態になります。

議事録の扱いも先に決めます。全部を移すか、直近1年だけ移して過去はNotionに残すか。全件移そうとして止まる例が多いので、移す範囲を絞ってでも切り替え日を守るほうが結果として早く終わります。

Pipedriveを選択肢として見る場合

Pipedriveは、顧客と活動を分けて持ち、次のアクションを軸に管理するCRMです。組織・人物・取引がそれぞれ別のレコードとして存在し、活動(電話・訪問・タスク)が取引に紐づく構造になっています。

Notionとの違いは、この構造が最初から決まっていることです。自由度は下がりますが、そのぶん重複の扱い、表示範囲、履歴、集計が構造の前提として組み込まれます。

比べるときは、機能表ではなく上の4点をそのまま持ち込んでください。確認するのは次の4つです。

  1. 同じ会社を2回登録しようとしたときに、どう扱われるか

  2. 担当者ごとに見える範囲をどう分けられるか

  3. フェーズが変わった記録が、後から一覧で追えるか

  4. いま毎週手で作っている集計が、標準の画面で出るか

プラン

月額(税抜)

Lite

¥2,800/月

Growth

¥6,800/月

Premium

¥9,800/月

Ultimate

¥13,800/月

年間契約で月額から最大36.4%の割引があります。全プランに日本語サポートと日本語オンボーディングが付きます。株式会社Merは国内唯一のマスターパートナーとして日本市場で提供しています。

CRMとSFAの区別が曖昧な場合はCRMとSFAの違いを、選定の軸を先に決めたい場合は顧客管理システムとはを先に読んでください。

判断が付かない段階なら、実データを少量入れて試すのが早いです。無料トライアルで、いま手作業になっている集計が標準機能で出るかを確かめてください。確かめる対象は機能の一覧ではなく、毎週作っているその数字です。

よくある質問

Notionで顧客管理はできますか?

できます。データベースで企業・担当者・商談を持ち、リレーションでつなぎ、カンバンやカレンダーで表示できます。公式に顧客管理向けのテンプレートも用意されています。フリープランでもデータベース機能は使えるため、費用をかけずに試せます。

Notionをやめた理由は何ですか?

多いのは4つです。同じ会社が別ページで重複していく、行や項目の単位で権限を分けられない、商談ごとの変更履歴が横断して読めない、複数の軸を掛けた集計が手作業になる。いずれも件数の問題ではなく、ドキュメント用のデータベースを顧客台帳として使ったときに出る構造の違いです。

Notionの欠点は何ですか?

顧客管理の文脈では、重複と表記ゆれの検出がないことが最大の欠点です。入力する人が増えるほど同じ会社が増え、後から統合するときにリレーションの付け替えが発生します。また、データベース権限の詳細設定はビジネスプラン以上、監査ログはエンタープライズプランに含まれます。

Notionの何がそんなにいいのですか?

1件の顧客に対して情報の形が決まっていないときに強いことです。議事録、提案のドラフト、検討の経緯、参考リンクを同じページに積めます。専用のCRMは項目が決まっているぶん、この自由度がありません。用途が違うので、優劣ではなく段階の問題です。

Notionの顧客管理はセキュリティ面で問題ありませんか?

標準の共有設定はページ単位です。行単位・項目単位の制御が必要なら、データベース権限の詳細設定が使えるビジネスプラン(メンバーあたり月¥3,150)以上が要ります。誰がいつ何をしたかを追う監査ログはエンタープライズプランです。必要な水準を先に決めてから、プランと費用を比べてください。

何件くらいからCRMに移すべきですか?

件数では決まりません。300件でも回っている組織があり、80件で破綻している組織があります。判断の材料は、重複の統合に手作業が要るか、見せる範囲を分ける必要が出たか、商談の経緯を後から追う必要が出たか、同じ集計を毎週手で作っているかの4つです。

NotionからCRMへデータを移せますか?

プロパティの値はCSVで書き出して取り込めます。移らないのは、ページ本文の内容と、メンションで作った参照関係です。移行の前に、構造化して持ち直す項目とメモとして残す情報を分けてください。企業と担当者を先に移し、重複を整理してから商談を紐づけると手戻りが減ります。

Notionと表計算ソフトのどちらで顧客管理を始めるべきですか?

顧客ごとに残す情報の形が決まっていないならNotion、決まっているなら表計算ソフトのほうが速く回ります。Notionはページに何でも積める代わりに、列だけを一気に編集する作業が苦手です。表計算ソフトは逆で、一括編集は速い一方、1件ごとの経緯を残す場所がありません。判断の材料は顧客管理をExcelでやる方法にも整理しています。

NotionとCRMを併用できますか?

できます。よくあるのは、顧客と商談の台帳はCRMに置き、検討資料や社内のドキュメントはNotionに残す形です。併用するときに決めるのは、同じ情報を両方に持たないことです。 どちらが正かが曖昧な項目があると、更新されない側が残って判断を誤らせます。

参照元

記事情報

  • 著者: 株式会社Mer

  • レビュー: Pipedrive運営チーム(株式会社Mer)

  • 更新日: 2026年8月13日

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